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2013年4月11日木曜日

Q&A(その3)ミックスは何に落とせば(ミックスダウンすれば)いいでしょう?素材の特徴や注意点など教えて下さい。


1.DSDレコーダー KORG MR-2000S
2013年現在、入手できる最高音質のマスターレコーダーです。「何にレコーディングしますか?」「何にミキシングしますか?」という問いには迷うことなく推奨します。DSD 5.6MHz/2.8MHz。コンソールのアウトを素直にそのまま録音できるのがいちばんの魅力だと思います。

2.アナログテープ(1/4インチ、ハーフインチ)
音像が大きく、パワー感が必要な場合、他のメディアに比べアナログが有利です。スピードと切れ、艶、暖かみ。太さと透明感を兼ね備えたサウンドは、ポップスやロック、R&Bなどでは、最高のメディアであることは間違いありません。
※100Hz/1kHz/10kHzのリファレンストーンは必ず録音してください。できれば15kHz、50Hzも録音してください。

3.オーディオデータ(WAV/AIFF)
Pro Tools他DAWで作業が完結する場合、24ビット/44.1kHzまたは48kHz以上のデータ。低音の処理のことを考えると16ビットより24ビットを奨めます。16ビットではキックの音、ベースの音が若干硬めになります。24ビットでは特にR&Bなどで聴かれる柔らかく伸びのある低域などは、よりイメージに近いサウンド作りができます。    
※88.2kHz、96kHz以上のハイサンプリングのマスターは、レンジは広いですがその分高域のピークの成分が多いため、音量がどうしても必要という方は24ビット/44.1kHzまたは48kHzを推薦します。

4.DAT
最近ではめっきり数が減ってしまいました。SSL、NEVEの卓やアウトボードを使用してミックスする場合、DAWのバウンスデータとは違った、まとまりと芯のあるDAT特有のサウンドになります。 
※必ずリファレンストーンを録音してください。DATの場合テープ頭はエラーが多いのでプログラムの録音はABS2:00から。そしてテープエラーのことを考え、必ずバックアップのサブマスターを作成してください。
ABS0:00からABS1:00までRECミュート
ABS1:00~ABS1:30までリファレンストーン(1kHz)
ABS1:30~ABS2:00までRECミュート
ABS2:00~プログラムスタート

※※リファレンストーンが必要な理由は
録音時と再生時にリファレンストーンを元に調整を行わないと、録音された音楽を正しく再生することができません。またサウンド面では、LRのレベルをきちんと調整することでボーカル、キック、スネアなどセンター成分の定位がきちんと決まります。


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2013年4月9日火曜日

アナログ・テープの時代(その1)「テープのトランスポート」


チーフエンジニアの森崎です。

ここ数日、20年以上前のアナログテープからリマスタリングの作業を行っています。厚み、艶のあるサウンドはやっぱり素晴らしいですがそれ以上に感動するのはミュージシャンやエンジニアがサウンドに込めた「限られたテイクの中で最高のものを残す」という気迫が伝わってくること。今は何テイクも何チャンネルも無限に録れる時代ですが、当時のエンジニアの意識を忘れてはいけません。

僕が音響ハウスで仕事をしていた当時はリズム録りなど、特にバンドの録音では24chのアナログ・マルチテープレコーダーが使われていました。2インチのアナログマルチはテープ自体の重さがなんと約5キロ。それを76cm/sのテープスピードで回すとたった15分しか録音できません。さらに再生時のテープ調整のためのリファレンス・トーン(1kHz、10kHz、100Hz)をそれぞれ30秒ずつ録音すると収録時間は正味13分ちょっとです。リズム録りのセッションでは1本のテープに2テイクずつ録音していくことが主流でした(1テイクOKというのもたまにありましたが)。つまりアルバム10曲のレコーディングではアナログテープは10本前後必要になるんです。アシスタント・エンジニアは総重量50キロにもなるテープたちを台車でリズム録りのスタジオからトラックダウンするスタジオに運びました。

トラックダウンもJ-POPやロックなどは2chのアナログ・ハーフインチテープに録音していきます。1本に2テイク、歌入り、インストを録っていきます。テープ節約のためにインストはDATのテープに録って、なんてこともありました。

いよいよトラックダウンが終了してテープのピックアップの時、A&Rは大仕事です。2インチ・アナログマルチ10本と、ハーフインチ・アナログテープの大移動です!台車でスタジオのロビーまで下ろしてそこから車やタクシー移動。どうしても電車に乗る必要がある時や海外でマスタリングする場合には磁気に触れないようにテープ一本ずつアルミホイルで巻いて梱包しました。

ポケットにUSBメモリを入れてマスタリング・スタジオに向かうなんて当時は全く考えられないことでした。ただ時代は変わってもマスターテープ(データ)の重要性は変わりません。これからもみなさんがマスターに込めた気迫に応えるマスタリングをしていきたいですね。


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2012年2月9日木曜日

波形のお話


今、スタジオに写真とりにいったらいい話を聞いたのでご紹介。エンジニアの会話。
森崎「これ波形、いいんですよ。ミックス素晴らしいんです。」
兼重哲哉さん「コンプかかりすぎてるのって、こげちゃったみたいですよね。」
森崎「そうなんですよ、ミックスで(マスタリングDAWのsoundBladeをさして)こうなってると、なにもできない。」
兼重「コンプかけすぎのミックスは、こげちゃったトーストみたいですよね。もどせない。」
森崎「空気感を残したまま、ボリュームあげるのはマスタリングスタジオの機材でやった方が絶対いいんです。」
兼重「自分でもWAVES L3などでシュミレートしながらミックスをしていますが最終的には外しています」
森崎「理想のミックスとは?」
兼重「ピークメーターとVUメーターの振れ方が同じようになるのがベストだと考えています。」
森崎「(兼重さんの音源は)メーターの振れ以上に大きく聴こえます。」
兼重「キック、ボーカルなどのセンター成分の音作りには特にこだわっています。基本的にミックスはNuendoでやっているのですが、空間系はさておき、コンプなどのダイナミクスコントロールはすべてアナログ機材を通して行なっています。」


兼重 哲哉
Tetsuya Kaneshige

1979年生まれ

大学卒業後、WHITEBASE STUDIOに入社。アシスタントエンジニアとして、数多くのアーティストのセッションを経験し、2006年にはTOM・TOM STUDIO設立に参加。同スタジオのチーフエンジニアに就任。2008年6月より独立し、現在はフリーランスで活動中。

2010-2011参加作品
i-dep・NONA REEVES・SCANDAL・HALCALI・SUPER BEAVER・八十八ヶ所巡礼・and more

http://www.tetrapot.com/credit.html




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2011年8月1日月曜日

ミックスマスターのレベル(その4)「マスタリングで音量を大きく仕上げたいときに気をつけるべき6つのポイント」

チーフ・エンジニアの森崎です。

ミックスマスターの音量により、メリットとデメリットがあります。マスタリングで音量の大きな仕上がりを求めるなら、ミキシングでは、以下の点に気をつけましょう。

1. ローエンド(50Hz以下)/ハイエンド(10kHz以上)に偏り、音に芯がなくならないようにする。ドンシャリ傾向のサウンドにしない。
2. ハイハット、シンバル、ボーカルの子音など、高域のピークを抑える。
3. 楽器、ボーカルの輪郭がはっきり聴こえるように。音像の大きなミックス。
4. キックとベースの帯域のかぶりに注意。低域のピークがないか注意。
5. ステレオ成分を使い過ぎない。
6. 客観的に聴いてみる。


★1. ローエンド(50Hz以下)/ハイエンド(10kHz以上)
使い過ぎると、ラジカセやPCのスピーカーのような再生レンジの狭いシステムで低域に厚みのないシャカシャカしたサウンドになります。これらのシステムでも音のバランスよく再生するには100Hz~10kHzの範囲内で基本的な音作りをしましょう。例えば音の芯はキック120Hz、スネア、ボーカル1.0kHz、シンバル4kHzなど。皆さんが思っている以上に低い周波数に存在するのです。

★2. 高域のピーク
一瞬でもあるとレベルが稼げません。例えば、ボーカルのピークの処理をしていない場合、サビで声を張った瞬間にディストーションギターやシンセが大きめの音量で入ってくるとビリつくことがあります。ボーカルの子音を抑えるにはディエッサーが有効ですが抜けが悪くなる場合はEQで補正します。Qを広めにし高域を少し上げて抜けを良くしてから、ピークのある帯域(6kHz~15kHz)をノッチフィルターで下げて耳につく子音の成分のみを抑えましょう。

★3. 音像の大きなミックス
録音は良く出来ているのに輪郭がはっきりせず音像が小さい場合、過剰にコンプをかけている可能性があります。コンプのアタックタイムが早すぎると大事なアタック音を潰してしまい輪郭の無いサウンドになります。対策はアタックタイムを遅くしてアタック成分にコンプがかからないようにする。またレシオを強め(2.0:1、4.0:1)でスレッショルドを緩めのセッティングの方が厚みのあるサウンドになります。

★4. 低域のピーク
低域のピークがあるとリズムがはっきり聴こえずボーカルの抜けやウワモノの抜けも悪くなります。特にベースに注意してください。特定の音域がキックやシンセ、ストリングスの低域成分とぶつかり思わぬピークを生じることがあります。フェーダー操作で聴感上のレベルをコントロールするか、ほんの少しピークを抑える程度のコンプをかけることで対策しましょう。EQの使いこなしのポイントはキックとベースそれぞれで同じ帯域をブーストしないようにすること。例えば120Hzでキックのアタックを強調したら、ベースは60Hzでボリューム感を出しアタックは250Hzで出す、など。

★5. ステレオ成分を使い過ぎない
パンを左右に思いっきり振ったシンセやディストーションギターは音量を入れたときに歪みやすい傾向があります。特に歪みやすいのはソロギターやエンディングのギターの打ちっぱなしの瞬間です。ベースの音とかぶったり、ニュアンスを付けて音をチョーキングした場合はピークが発生し歪みにつながります。それぞれの楽器が重ならないよう定位を変えたり、ボリュームレベルを調整することで対策出来ます。

★6. ミキシングで仕上がったサウンドを客観的に聴いてみる
音量レベルを下げても演奏や歌詞がはっきりと聴こえるか。ニアフィールドモニターだけでなくヘッドホンやラジカセ、PCのスピーカーでもチェックしてみてください。ピークがあるからコンプをかけるのではなくまずはオケと歌のフェーダーバランスを細かく微調整から。次にEQで帯域の補正、最後にコンプの調整をすれば楽器の鳴りの良いダイナミックスあるサウンドに仕上がります。


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2011年7月22日金曜日

ミックスマスターのレベル(その3)「音量レベルの小さなミックスマスター」

チーフ・エンジニアの森崎です。
本日は音量レベルの小さなミックスマスターについて。

メリットはズバリ音質の良さです!ヘッドルームに余裕がありレベルオーバーにより歪むことがないためハイエンド/ローエンドまできれいに伸びて、演奏のダイナミクス・奥行き・広がりが繊細なところまで再現されます。クラシックやジャズはもちろん、ポップスやロックでも声や楽器の質感をナチュラルに表現したいときはレベルを入れすぎずにミックスを仕上げましょう。瞬間的なピークでも-1.0dB程度までに押さえた音量レベルがベストです。アウトボードや、複数のプラグインをインサートしての音作りでも、ミックスマスターの音量レベルはヘッドルームに余裕を持たせることで歪まずにクリーンなサウンドを得ることが出来ます。

また、みなさんもミックスでEQをすると思いますが、「ブースト方向にEQ」することが多いのではないでしょうか?ヘッドルームに余裕がなければEQでブーストすることでマスタートラックは、ピークに達して音が硬くなったり歪むことがあります。複数の帯域を、例えばボーカルなら声の芯(1.0kHz)、輪郭(6kHz)、倍音(16kHz)などでEQする場合はより多くのヘッドルームを持たせましょう。またEQする帯域が増えるとEQカーブの重なりでフレーズによっては思わぬピークが生じることがあります。

意外だったのが、ミックス時に出来るだけ音量を入れた方がマスタリング後の仕上がりの音量を大きくできると思っている方が結構いること。そんなことはありませんよ!小さめのミックスでもマスタリングで十分に音量を大きく仕上げることはもちろん可能で歪ませずに聴感上で大きなレベルをつくり出すことができます!マキシマイザーを入れたくなる気持ちもわかりますが、一度バイパスさせてモニターしてみましょう。ミキシングで音量より大切なことは「音楽としてのバランス」です。演奏が分かりやすく聞こえること。歌とオケのバランス。音量レベルやモニターシステムが替わってもニュアンスが変わらないことです。


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2011年7月21日木曜日

優先順位1位はマスター・テープのアーカイビング


音楽が好きな人には、ようやく「本当の意味でのレコード」を楽しめることができる時代がきた!

97年をピークにパッケージCDの売り上げはシュリンクしているが、音楽は決してなくならない。携帯型プレーヤーやPCにMP3で1000曲も保存している人も少なくないだろう。しかしそれは情報を間引きされた音で、ジャンルによっては別物と言えるほどに音楽の重要な部分が欠落している。それほどにオリジナルのレコーディングとは違う音なのである。責任ある発言という意味で私は、録音エンジニアという職業のほかに、作曲家としての活動も続けているが、少なくとも私自身のマスターについては、CDとマスターとは異なる音楽体験である。まあ、それほど印象が変わらないCDがあることも認める。


レコード会社、原盤制作会社、レーベル運営、ミュージシャンで自分でCDなどを作っている方々へ。

倉庫代の節約という理由ですでに廃棄してしまった場合は取り返しがつかないが、手元に(保管庫に)アナログ・テープがあることが判っている場合、今すぐ始めないといけない優先順位1位はマスター・テープのアーカイビングである。ハードディスクのスペースや予算を考えたら、96kHz 24bitでデジタル化しているからそれで十分だという意見も理解できる。この10年以内にPro Toolsなどで制作されたマスターは、それでもよいであろう。重要なのは、それ以前の1/4インチ、ハーフインチなどアナログ・マスターテープである。温度湿度の管理がなされていてもアナログテープの劣化は早い。サイデラ・マスタリングでは、STUDER A-80、A820、Dolby-SR/Aのメインテナンスとトランスファー用のケーブル、電源周りまで管理されている。熱処理(ベーキング、オーブン入れ)して、正しい調整により、5.6MHz DSDにアーカイビングしていく。ハードディスクの価格も手頃になり、このタイミングで5.6MHz DSDでアーカイビングできることは画期的である。私自身のマスターも、5.6MHz DSDでアーカイビング後はついに廃棄!とした。後悔しないぞ。ポップス、ジャズ、フュージョン、クラシック、演歌、とりわけ歌の上手い歌手、名演奏のマスター、とにかくアナログ・テープは、5.6MHz DSDでアーカイビングが必須である。希望される場合、同時にDSDマスタリングも受託しているので、どうぞ遠慮なく問い合わせてほしい。2.8MHz DSFあるいは96kHz 24bitにダウンコンバートして高音質音楽配信も可能。これで「本当の意味でのレコード」が楽しめる。

サイデラ・マスタリング
シニア・エンジニア:オノ セイゲン


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2011年7月12日火曜日

ミックスマスターのレベル(その2)「ミックスで音量レベルを入れるときは」

チーフ・エンジニアの森崎です。

最近では優秀なプラグインのおかげでかなり音量レベルの入ったミックスマスターも多くなりました。今回は音量レベルの大きなミックスマスターについて。

ミックス段階でフルビットに近いレベルを入れることのメリットは「限りなく製品CDに近い音圧感でサウンドをチェック出来ること」です。常に最終形に近いかたちをモニターしながら制作することで楽曲の方向性は非常に明確になります。レンジ・バランス・ボーカルの抜けがバッチリならマスタリングではほんの少し透明感や抜けをプラスするだけでOK。レベルの大きいミックスは迫力が出るので、必ず小音量でもプレイバックしてみて歌詞・演奏が伝わりやすいか?声の芯・キック・スネアのアタックなどがしっかり聴こえるか?忘れずにチェックしましょう。

逆にデメリットとしては、音量レベルの大きなミックスマスターはサウンドのキャラクターやニュアンスが決まっているので、マスタリングでミックスの方向性と違う音作りは難しい。広がり・奥行きを出したい場合やナチュラルな質感で仕上げたい場合も、一度迫力・音圧のあるようつくられた音源からこれらのサウンドに仕上げるには限界があるので音量レベルの大きなミックスマスターは避けるべきです。ナチュラルな質感ながら音量を入れたいときは、楽器に輪郭があり、音像が大きく、ハイハット、ボーカルの子音など特定のピークが無いミックスは聴感上音量が大きく聴こえるため、レベルを入れてもナチュラルさを失うことを抑えられます。

また多くの方は24ビット/48kHzなどCDフォーマット以上でミックスしているので、音量やバランスがいくらバッチリでもマスタリングで16ビット/44.1kHzのCDフォーマットに落とし込む必要があります。ミックスマスターをただ機械的にCDフォーマットに変換すると24ビットから16ビットの場合で単純計算で8ビット分情報量が下がります。ミックスマスターからアーティストが理想としている楽器の音色・演奏のグルーブなど音楽的な要素を引き出しアーティストの気持ちをリスナーに伝える作業、あるエンジニアさんの言葉を借りると「意思のある16ビット/44.1kHz」に変換するのがマスタリングです。ジャンルに合ったサウンドに仕上げること、アーティストの求めるわずかなニュアンスの違いをサウンドで表現すること。様々なテクニックでそれらを積み重ねることで情報量が下がってもリスナーに伝わるサウンドに仕上げることが出来ます。


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2010年8月21日土曜日

TDでのヘッドルームの重要性

チーフ・エンジニアの森崎です。
最近44.1kHz、16Bitの音源でビックリするぐらい音が良い素材音源(TDマスター)を扱いました。聴き比べるといくつかの共通点がありました。

1)ヘッドルームに余裕がある。
2)音像が大きく、一つ一つの音がしっかりしている。
3)ピークの処理がきちんとしてあり音に厚みがある。

(解説)
1)ヘッドルームは3dB〜1dBぐらい余裕がありました。どの作品も波形を拡大してもつぶれていません。
2)音源の音量は小さめですが、モニターのボリュームを上げて聴いてみると聴感上とても大きく聴こえました。
3)ピークの処理がきちんとしてあるのでマスタリングで音量を入れても音が詰まった感じがしません。高域をほんの少し0.2dBほど上げただけで十分に抜けました。

これらの作品を聴いてみるとフォーマットよりも音作り、TD作業が大切だと思いました。例えば音量がギリギリまで入っているマスターの場合、マスタリングでは送りのレベルを下げてマイナスEQで処理をしたり、ケーブルと機材の選択でそのまま取込むしか方法がありません。

レベルとダイナミックレンジに十分余裕があれば色々なアプローチの仕方が可能になりますね。

2010年6月3日木曜日

アナログレコード用のマスタリング

チーフ・エンジニアの森崎です。
本日はアナログレコード用のマスタリングについてお話しします。CD用のマスタリングに比べアナログレコード用のマスタリングではいくつかの注意点があります。

1) 逆相成分が多いと針飛びを起こしやすい。
2) 低域成分が多い程溝の振幅が大きく溝の間隔を広く取る必要がある為、収録時間は短くなる。
3) 高域のピーク成分が多いとカッティング時にEQで削られてしまう事がある。
4) アナログレコードは内周(盤の後半)に行くほど高域が落ちて歪みやすくなる。

(マスタリングでの対策)
逆相成分についてはマスタリング時にオシロスコープを確認しながら作業します。低域については特に50Hz以下の成分が多い場合、CDと同じようなニュアンスで聴こえるよう適切なローカットの処理をします。高域のピーク成分で特に注意が必要なのがヴォーカルの子音の処理です。アナログレコードは曲順も重要なポイントです。音圧があるパンチのある曲は出来るだけ前半にしたほうが良い仕上がりになります。

サンプリング音源で似たような帯域を重ねて作ったキック、正弦波のようなベースの音には想像していなかった低域成分が存在する事があります。ローエンドとハイエンドを使いすぎない音作りがアナログレコード用マスタリングでは必要ですね。

2010年5月13日木曜日

高音質配信とは??



どうもMUSHです!


『高音質』という言葉でみなさん何を思い浮かべますか!?


昨年は「高音質CD」としてSHM-CDHQCDBlu-spec CDでのCDリリースがはじまりましたね!


iTunesでも従来よりビットレートの高い「「iTunes Plus」」、地デジになってハイビジョン画質と「高音質の5.1chサラウンド!」


などなど、いろいろと高音質という言葉を聞く機会がとても増えてきています!





これらの「高音質」は、<従来のものに比べて、音質がいい!>という意味で使われています!


従来のCDや、テレビのアナログ放送などということですね!





一方で、また別の意味合いでの「高音質」の解釈があります!


<高音質=マスタークオリティ>という定義です!


Blu-ray DiscやSUPER AUDIO CDなどで、スタジオマスターと遜色ないクオリティで音楽を届けることが可能な時代なんですね。


さらに、マスタークオリティの音楽をディスクなどにパッケージせず、


インターネット配信で購入できるレーベルなども出てきていますよ!


いくつか挙げてみます!





オーディオ機器メーカーの「Linn」が運営するレーベル、


Linn Records


http://www.linnrecords.com/


ノルウェーのレーベル「2L」の音楽配信、


2L music online


http://www.2l.musiconline.no/shop/default.asp


ご存知、日本のメーカーオンキヨーが運営する音楽配信、


e-onkyo music


http://music.e-onkyo.com/contents/sound.asp





まだまだ国内外に多くの高音質配信を行っているところがありますよ!


多くの高音質配信サイトでは、


MP3クオリティ<CDクオリティ<マスタークオリティの違いで価格も高くなることが多いようです。


次回は、実際に高音質配信サイトから音楽をダウンロードする過程をリポートしたいと思います!





2Lレーベルのパッケージメディアは、サイデラ・モーニングセッションでも視聴しました!






2010年4月26日月曜日

ケーブルの使いこなし(その4)「MR-2000SxSD-9003」

チーフ・エンジニアの森崎です。

「Saidera Ai SD-9003」はKORG MR-2000Sのインプットケーブルとしても最適です。
マスターテープの情報を損なわず、決して色づけすることなく録音出来るケーブル。アナログ1/2インチ、1/4インチからMR-2000Sへのアーカイビングには必ずこのケーブルを使います。
↓アナログテープレコーダーStuderA820からKorgMR-2000Sへ直結。
f:id:SAIDERA:20100426114114j:image
(少しだけ自慢ですが)立ち会いの皆さまが最初に驚くのはモニタースピーカーの「色付けのないサウンド、レンジの広さ、そして立ち上がりの速さ」です。2009年よりモニターケーブルには全てSD-9003を使用しています。サイデラ・マスタリングのサウンドにはこのケーブルが不可欠です。
↓MR-2000Sへのインプットと、モニターラインへのアウトプットもSD-9003で。
f:id:SAIDERA:20100426114235j:image
パワード・モニターのインプットケーブルにも最適です。DJミキサーのインプットケーブル、とくにUREI1620のインプットに使ったらどんなサウンドになるのかとても興味がありますね。

2010年4月6日火曜日

MR-2000Sを使ってみよう!(その8)「録音時のレベル」

チーフ・エンジニアの森崎です。

MR-2000Sの5.6MHzDSDレコーディングでは、録音レベルは全く問題ありません。例えばピアノのホールレコーディングではピークメーターが-3dB辺りになるよう、レベル調整をしています。瞬時であれば赤が点灯してもPCMのように歪むことはありません。再生時にはRef.Level(リファレンス レベル)が-12dB→-20dBまで2dBステップで再生レベルを調整出来ます。マスタリングやミックス時、アンプの入力レベルに合わせて適正なレベルでのプレイバックが可能です。
↓杉並公会堂でのピアノレコーディング
f:id:SAIDERA:20100228074035j:image
マスタリングで5.6MHzのハイレゾリューションを活かせる作業の一つが、アナログマスターテープからのアーカイビングです。入出力コネクターはXLR(キャノン)、RCA(ピン)、S/PDIF(ピン)と付いていますので、アナログテープをアーカイビング、HDDで保存が可能です。MR-2000Sでそのまま再生するのもOK。5.6MHzDSDデータを付属のソフトウェア「Audio Gate」でPCMに変換すれば、あらゆるシステムで再生可能です。

2010年2月18日木曜日

BORO/30周年記念ベスト・アルバム

チーフ・エンジニアの森崎です。

「BORO/30周年記念ベスト・アルバム」のマスタリングをしました。素材はアナログ1/4テープです。アナログ素材は基準信号で調整しサウンドを聴きながら微調整、アナログテープレコーダーのStuder A-820からKORG MR-2000Sに取込みました。

「大阪で生まれた女」は小学生の時にオンタイムで聴いていたのですが、アナログ1/4マスターのサウンドは圧巻でした!この曲を最初にマスタリングしサウンドの基準としました。MR-2000Sはアナログのベストテイクを最高の状態(DSDの5.6448MHz)でアーカイブできます。古いテープはテープレコーダーで再生するごとに音質が劣化しますがそれを未然に防ぐことが出来ます。マスタリングの手直しにもテープをかけ直すことなく、安全、確実、スピーディーに仕上げることが出来ところが、大変気に入っています。

2009年12月16日水曜日

MR-2000Sを使ってみよう!(その4)「TD編」

チーフ・エンジニアの森崎です。

(TD編)
KORG MR-2000SをTDに使ったら効果がありますか?という質問を頂きますがもちろんです。Pro Toolsの作業では最終的にミックスデータをバウンスすることで音色は若干変化します。一方MR-2000Sに5.6MHzで録音すればモニターアウトのサウンドをほとんどそのままのクオリティーで録音することが可能です。もちろんMR-2000Sの前にアナログのEQ、COMPを通したり、アナログハーフインチを通してそのアウトを録音することも可能です。この場合ランニングテープ1本あればアルバム1枚分ハーフインチを通せるんです。

今までなら録音スタジオとマスタリングスタジオではテレコ自体が違うので同じサウンドを再現することが出来ませんでしたが、MR-2000S本体を持ち運べば(サイデラ・マスタリングではもちろんデータの持ち込みでOK!)それが可能なのは本当にすごいことだと思いますね。

もう一つは以前も書きましたがノンストップのMIXCDを作る時にぜひ使って頂きたいですね。MR-2000Sにはピンの入力、出力が付いているのでクラブ・ミキサーのUREI1620の出力をそのまま録音出来るんです。DSD5.6MHzで※約14.5時間の録音が可能なので時間を気にすることなくプレイすることが出来ますし、何よりアナログレコードの質感をそのまま録音出来るところが一番の魅力だと思います。音のクオリティーはほとんど失うものはありません。
(※連続では6時間の録音が可能)

この方法だとDJがマスタリングスタジオでプレイしてそのままマスタリングしたかのような、昔のダイレクトカッティングのようなことが可能です。

MR-2000Sの良いところはアナログの良さを生かしてくれる機材だということ。Pro Toolsでは満足出来なくてさらに何かをプラスしたい、感動のレベルを上げたいというアーティストには絶対の機材だと思います。

MR-2000Sを使ってみよう!(その5)「オーディオ編」

チーフ・エンジニアの森崎です。

(オーディオ編)
オーディオが趣味の方にとっては、アーティストの良い演奏だけではなく音の良さにも特別なこだわりがあると思います。お気に入りの作品を自分が理想としているコンサートホールのサウンドに近づけたり、ライブハウスの演奏のリアルさを追求したり、理想のヴォーカルを求めたり、楽しみ方は様々ですね。

僕は音の鮮度、立ち上がりのスピードは入り口で決まると思ってます。再生機材が良くなければアンプ、スピーカーをどんなに頑張っても、表現出来ないサウンドがありますので。そのこだわりはマスタリングでも全く同じですね。


KORG MR-2000Sがスタジオに来た時、付属ソフトウェアの「AudioGate」を使って、DSDにアップコンバートしグロリア・エステファン『Mi Tierra」を聴いてみたんです。この作品はCDは音もすごくいいのですが、DSDにアップコンバート後ではアナログレコードのような枠がない感じの伸び伸びしたサウンド。音色は自然で柔らかいのですがラテンのリズムがとてもタイトで気持ちいいです。特にハスキーなヴォーカルのニュアンスが抜群でした。

このサウンドはうれしい発見でしたね。超高級なCDプレーヤーのような表現力です。ケーブルの聴き比べなどのリファレンスにも使っています。音色が素直なのでキャラクターの違いが分かりやすいです。スピーカー調整のリファレンスとしても最適です。

2009年11月10日火曜日

サンプリング周波数とは(その4)「CTLとは再生編」

チーフ・エンジニアの森崎です。

それでは前回に引き続きCTLの役割の後半をお話しします。

(再生時)
音楽信号が記録されたテープを再生する時は、記録した音楽が同じ時間(記録時間=再生時間)で音揺れなく再現したいですよね。これを実現してくれるのがCTLになります。再生時には記録時同様、サンプリング周波数が基準信号になります。サンプリング周波数周期の再生用メトロノームに記録されているテンポ(CTL)が合うように、テープを再生します。基準信号がピッタリ正確であれば再生時間=記録時間という第一の目標が達成されます。

サンプリング周波数周期の基準信号にテープに記録されているCTL(テンポ)が合うように再生すると、多少のワウフラッターはあっても基準信号とCTL(テンポ)はそこそこあっているはずです。CTLがあうということはデーターもそこそこあうことになります。なぜなら、CTLとデータはいつも一緒。CTLと一緒だったデータは基準信号に渡されD/Aコンバーターを通り、音ゆれのない音が再生されることになります。俗にいうTime Base Correction(時間軸補正)ですね。この技術はVTRでも用いられ、画面のゆれを無くすことに貢献しています。

最後に、実際にDASHフォーマットでテープに記録されているCTLは、サンプリング周波数そのものではありませんし、アドレスを持っていたり記録時のFsの種類やテープの速度などの情報も含まれていますが、概念的に理解して頂けたらと思います。

2009年11月4日水曜日

サンプリング周波数とは(その3)「CTLとは応用編」

チーフ・エンジニアの森崎です。
本日はCTLの役割をお話ししようと思います。

(記録時)
サンプリング周波数周期のメトロノーム(とんでもなく速いですが)を考えてみます。記録する時にはこのメトロノームの振子に合わせて、テープ上にそのテンポをマークする、と同時にデータも記録します。このテープに記録されたテンポがCTLと考えられます。

1)CTLはサンプリング周波数の仮の姿。
2)CTLとデータはいつも一緒。

CTLの記録のしかた(フォーマット)とデータのそれは異なりますが、テープ上ではきれいに並んでいます。もしCTLとデータが無関係に記録されると記録した音楽信号をミューティングしてしまいます。記録する時には、サンプリング周波数という基準信号をもとにデータとそのデータを記録したテンポ(CTL)がテープに記録されることになります。この基準信号というのはとても正確です。結果としてテープ上にはテンポ(CTL)が残りました。CTLはサンプリング周波数の仮の姿なのでこの記録されたテンポの数を数えれば、(テンポ一つあたりの時間はサンプリング周波数から計算出来る)テンポ(CTL)によって記録時間が分かります。

3)CTLは時間情報。

以上の3つがCTLの主な特徴です。このCTLが真価を発揮するのは再生時ですが、続きは次回です。

2009年10月30日金曜日

サンプリング周波数とは(その2)「CTLとは基本編」

チーフ・エンジニアの森崎です。
本日はDASHフォーマットで重要な役割をするCTLについて考えてみます。

(注)DASHフォーマット=世界的規模での互換性を実現すべく、広く世界に提案された固定ヘッドによる業務用デジタルオーディオテープレコーダーフォーマット。1/4インチ・2チャンネルから1/2インチ・48チャンネルまで規格が網羅されています。

デジタルオーディオ機器では記録時も再生時もサンプリング周波数によって動作することは前回お話ししましたが、もう少し具体的に考えてみようと思います。
音楽信号をデジタル録音する時にはその時のサンプリング周波数によって音声をサンプリングします。そしてサンプリングされたデータをテープに記録することになりますが、最終的にCTLが記録されていなければいけません。

1)最初にCTLを記録しておいてあとからこのCTLに従ってデータを記録する。
2)データを記録する時にCTLも同時に記録する。
これらのいずれかでなければいけません。

DASH機器ではテープ上にあらかじめ列車が走るための用地がいくつか平行して確保されていると考えて下さい。
新品のテープは、土地は売約済みですがまだ鉄道は実際には走ってない、つまりレールも枕木も電柱も何もない状態になります。
列車を運行するためには、まずレールをひかなくてはいけません。実際には枕木を置いてその上にレールをひくことになります。そして、この枕木は規則正しく一定の間隔で並べられます。CTLはちょうどこの枕木のようなものと考えて下さい。枕木が列車にとって不可欠であるように、CTLもDASH機器にとって不可欠なものです。列車が走る(信号を記録する)ためには鉄道用地(テープのトラック)に枕木(CTL)を置かなくては(記録しなくては)いけません。

CTLの雰囲気はだいたい分かって頂けたでしょうか。

2009年10月26日月曜日

バックアップの重要性

チーフ・エンジニアの森崎です。

TDでアナログテープを使っていた時代は必ずDATなどの別のメディアにもバックアップを取っていました。アナログ24CHのマルチテープも48CHのデジタルテープにコピーしていましたが、最近ではレコーディング、TDのマスターはHDDに保存されていることがほとんどです。

メディアがデジタルデータであってもバックアップの重要性は変わりありません。例えばですが、100台に1台はなんらかの事故がおこるとお考えください。バックアップすることで事故の確率は1万分の1になります。ワーク用、バックアップ用、OKテイクを保存するマスター用の3台があれば、100%安全ではなくともほぼ万全の体制で作業を進めることが出来ます。フォルダもレコーディング、ダビング、TD、最終OKなどで色分けをしておくと、あとの検索が便利になります。
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どうしても急ぎの作業の時はファイルやフォルダの名前に、時間を入れるだけでも違います。
(例:091021_TD_1724)

また、バスパワー供給タイプの小型のHDDもありますが、動作が不安定だったり、PCにマウントされないこともあります。スタジオ作業にはFireWire400/800インターフェイスの、ACアダプターを使用するセルフパワータイプが適しています。

データのバックアップ同様に重要なのがOKテイクの管理です。ワーク用、バックアップ用のHDDはどうしてもフォルダが多く、階層も深くなり、必要な時にOKテイクを探すのに時間がかかることがあります。そこでOKテイクのみを保存したマスター用HDDを作成しておけば、必要な時に瞬時に取り出せますしマスタリングスタジオにそのまま持ち込むことも可能です。実際に、HDDを持ち込んだけどワーク用でエンジニアの方が到着するまでスタッフはどのテイクがOKなのか分からないということがありますので。

マスタリングスタジオにはHDDだけではなく、HDDと同じOKテイクををDVD-Rにも焼いて持ち込むことをお勧めします。

2009年10月21日水曜日

安田寿之さん

どうもMUSHです!
電子音楽をベースに様々なジャンルを制作する音楽家、安田寿之さんが自身のソロアルバムのマスタリングでお見えになりました!
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U-matic(3/4)マスターのサウンドがお気に入りだったという安田さんのリクエストにより、今作はある意味、DSD5.6MHzマスタリングとは対極の(!?)音作りが施されました!

「今回の作品はU-maticのニュアンスをDDPマスター再現するために、アナログ機材でしっかり作り込みました。まず、全体に暖かく大きなサウンドに仕上げるためにアナログテープレコーダーStuderA820のアンプを通し、その後、PrismSoundのコンプMLA-2でバランスを整えました。一つ一つの音が太く存在感があり、油絵のような艶とコントラストを表現してみました。オケとヴォーカルの絶妙なバランスを、ぜひ聴いて頂きたいと思います。」
(チーフエンジニア森崎)

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